「ISOマネジメントシステムが一番わかる」より5

QA(品質保証)

引き続き、QAエンジニアの私がこの本より、一般の方たち向けにかみ砕いていきます。

審査の目的・流れ

◎審査の目的

  • 規格(理想像)の適合性を確認:顧客が満足する製品を作れているか
  • 有効性を高めること:継続的に改善されているか

JQA(日本品質保証機構)は2番目の「有効性」を重視しています。

◎審査で行われること

審査前の準備

  1. 審査に必要事項の確認・資料提出
  2. 訪問予定の審査員氏名・当日のスケジュールなどの審査計画届く

審査当日

初回会議⇒トップマネジメント(社長・事業長etc..)インタビュー⇒現場審査⇒報告書作成・最終会議

  • 方針・目標はどんなもの?
  • 作業に問題はない?
  • 教育の活動記録はある?etc…

改善点・良好点の報告を受けます。

◎トップインタビュー

・審査員の役割

  • トップ(社長・事業部長)が審査で得たいことを引き出す
  • 現在のシステムは良好か確認
  • トップは責任を果たせているか確認

基本は審査の一番最初に行い、全体像を掴みます。

◎個々のセクションでの審査(現場審査)

個々の活動の審査

  • それぞれ規格(理想像)に沿っているか
  • 適切にPDCAサイクル回しているか
  • 他部署との連携が上手くできているか

順を追って確認or逆の後工程から遡って確認、最初のトップマネジメントのインタビューを基に行う

◎審査報告書と最終会議

審査員:審査報告書を作成

トップマネジメントのインタビューvs現場審査の食い違いを洗い出す

改善点・良好点を審査報告書としてまとめる⇒トップマネジメント(社長・事業部長etc…)に報告

以下の報告

  • 重大不適合:今すぐ直さないと、社会的信用を失う
  • 軽微不適合:すぐに直せなくても信用は失わないが、放置すると大変なことになる
  • 改善の機会:無理に直す必要ないが、直せばプラスになる
  • ストロングポイント:同業他社の中でも、群を抜いて素晴らしい
  • グッドポイント:同業他社の中でも、素晴らしい

これらを審査員より報告を受けます。

審査の種別

◎審査の種別

  • 登録審査1st:審査員を呼ぶ前の事前審査、社内の監査員が判断
  • 登録審査2nd:審査員呼んで審査、規格通りか・仕組みは十分か・認証取得を判断
  • 定期審査:審査員呼んで前回審査から1年間振り返り、仕組みは十分か不足しているか確認
  • 更新審査:審査員呼んで審査、過去3年間を振り返り、登録が有効か判断

マネジメントシステム審査員

◎審査員が大切にしていること

「組織がそれぞれのマネジメントシステムを効果的に運用していくことによって、継続的に改善していけるためのお手伝いをする」

つまり、社会貢献・成長・事業継続につながるお手伝いをしています。あら探しせず、共に成長し合うことが審査員です。

◎審査員に求められるもの(1)ーコミュニケーション能力ー

  1. 規格を理解する
  2. トップの望む理想像、審査で確認してもらいたいことを引き出す
  3. 記録・データ分析や作業員へのインタビュー・質疑応答などで組織の状況を把握し、意図をくみ取り、気づきを与える

もちろん、企業の組織を尊重し、企業の成長のお手伝いが基礎です。

◎審査員に求められるもの(2)ー文章力ー

結果を審査報告書にまとめます。総合所見・不適合・改善の機会・グッドポイントなど記載します。

この審査報告書のわかりやすさも審査員に必要な能力です。

  • 大学生・新人が読んでも理解できるか
  • 正確に表現されているか
  • 企業の成長につながる内容か

これは初め、1人よがりになりがちです。

◎審査員に求められるもの(3)ー業種の専門性ー

審査員は、製造部門・品質部門の業務で、マネジメントシステムの運用に携わり、退職などで審査員になることが一般的です。

●ISO/IEC17021の要求事項

  • 一般的な審査の技能・知識・経験
  • 審査対象の専門分野(電気専門・機械専門・金属専門・食品専門など)

現場に合った専門の審査員を選ぶことで、適切に維持・改善を行うことができます。

◎とある審査の様子・・・

審査員は、北海道から沖縄まで全国津々浦々を訪れることが好きな人移動に耐えうる体力が必要とも言われます。かつ、トップ(社長・事業部長など)とも関わりますので、常に緊張が続きます。かつ、効率良い時間配分も力量の一つに問われます。

◎審査員は頼りになる

審査員による審査の目的は、「継続的改善のお手伝い」です。

  • 改善の機会の捉え方:組織・チームがより良くなる「具体的なヒント、活用すべきこと」
  • 審査員の活用方法①⇒審査前・審査中に困っていること・課題を審査員に説明すること
  • 審査員の活用方法②⇒他社の事例の役立つ情報を貰える(コンサル行為にならない範囲で)

各社の組織のトップ(社長・事業部長etc…)も審査員と同様、コミュニケーション・文章力(理解力)・専門性の能力が必要です。そして、お互いに高め合う仲になることで有意義な審査になります。

審査における基本的な姿勢

◎組織のための審査(JQAの審査基本姿勢)

1.組織の自主性を基本とし、自律性を高める審査

⇒組織が自主的に「改善するお手伝い」をすること

2.組織の特性と個性を大切にする審査

⇒その企業・会社・組織を把握し、その特徴を尊重した上で改善すること

3.トップから現場までの一貫性を重視する審査

⇒トップだけでなく、下位の作業員まで改善活動を行き届かせること

4.コミュニケーションを重視した審査

審査員とトップ(社長・事業部長etc…)だけでなく、様々な方たちの対話で成り立つため、1人1人が改善するきっかけになる審査を目指す

5.ステークホルダーの視点に立った審査

お客様・取引先・株主など全ての関係者の視点に立った審査をする

6.常に一歩先を行く先進的審査

⇒今は良くても、2025年・2030年・2040年の視点から見た審査をする

全ての企業・会社・組織にストーリー(歴史・経緯)があります。ストーリー(歴史・経緯)を読み取ることで、不要な仕組み・モノなどが明確になっていくかもしれません。そこを整理(モノ減らし)・整頓(正しい位置戻し)することにもつながるかもしれません。

以上で、ちょっと端折ってしまった箇所がたくさんあります。そして、全然わからないよという方もたくさんいるでしょう。その点は、ご了承ください。

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