引き続き、QAエンジニアの私がこの本より、一般の方たち向けにかみ砕いていきます。
品質とは
◎品質とは
ISO9001:品質マネジメントシステム⇒「顧客満足」=その商品で喜びを感じられるか
高額で高機能or安価でシンプル、どちらであっても顧客が喜びを感じないと取引がなくなり、事業継続ができなくなります。
例
- 高額で高機能=特殊技能の作業者・24時間モニタリング・定期メンテナンスetc…
- 安価でシンプル:量産のため単純ルーティン化・故障パターン分析・故障後、迅速に交換etc…
雑に例をあげましたがこれを「フレームワーク」といいます。このシステムの構築・運用は、パフォーマンス改善&持続可能な発展への基盤になります。
◎顧客満足とは
「顧客満足」=顧客の期待を上回る意味合いが含まれる
- 顧客期待100点⇒実際80点❌
- 顧客期待100点⇒実際100点△(Customer Satisfaction/ISO規格あり)
- 顧客期待100点⇒実際120点◎(Customer Delight/ISO規格なし)
◎顧客重視
「顧客重視」:ISO9001(品質マネジメントシステム)の原則の1つ
ISO規格(序文・附属書含む)の中に「顧客」という言葉が102回出てきます。
JIS規格(JIS Q 9001)の中にも、「顧客」という言葉が102回出てきます。
例(PDCAサイクル)
- Plan:顧客満足を確保するための計画策定
- Do:不良品を出さない安定したサービスの提供
- Check:顧客満足度の監視・測定
- Action:顧客満足度を向上するための改善策
ISO9001(品質マネジメントシステム)の運用=顧客重視⇒顧客満足度を指標⇒PDCAサイクルを運用
◎独自の品質マネジメントシステム
運用されている仕組みを体系的に整理し、確実に運用するためにISO9001を活用すること
●これから品質マネジメントシステムの構築・見直し
- 既に運用されている仕組みを分析
- 顧客からの要求適応方法を分析・把握する
- 継続的に改善するための仕組みを構築
- 顧客満足の向上・持続的な発展に寄与
顧客の要求事項
◎顧客の要求事項を把握する
顧客満足度向上=顧客要求を把握することです。しかし、顧客とかみ合わなくて、顧客満足度を低下させることもあります。
- 注文書の読み間違える
- 消印有効と必着を間違える
- 必要な試験が抜けていたetc…
事前に顧客の要求事項を把握することが顧客満足度向上につながります。
◎顧客とのコミュニケーション
ここは多くが営業部門によります。
顧客の要望などの『インプット』⇒営業スタート⇒受注・契約の『アウトプット』となります。
- インプット:顧客からの引き合い・問合わせ
- 営業部門の仕事
- アウトプット:受注・契約の獲得
プロセスを管理する上で要素をまとめた管理図(タートル図)にまとめると、製造部門とは少し異なる4M(Man・Material・Measurement・Method)が出てきます。
- 人(Man):業界動向・商品知識・身だしなみ・礼儀
- 材料(Material):契約書・各ひな形
- 数値(Measurement):金額・台数
- 方法(Method):使い方などの説明・使い道
ここで、営業部門の力が試されるのが、人(Man)の部分です。色々な書籍が出ていますが、私が重宝している書籍が中村信仁著「営業の魔法」です(下記参照)。もちろん、これと同時に業界の知識を付けて、顧客が必要としていることをくみ取ることが必要です。「営業の魔法」の名言が下記の通りです。
『お客様の問題を解決するお手伝いをすること、お客様と成長の感動を共有する』
材料(Material)や方法(Method)は営業部門ではなく技術部門・品質部門などが携わることもあるので、営業部門のみならず、全社員で営業活動に取り組むことが大切です。
◎顧客関連プロセスの役割
「顧客とのコミュニケーションを通して顧客の要求事項を把握し、製品・サービスを提供する」ことから、顧客に利用され、満足する製品・サービスとなります。一方、顧客の要望通りじゃないこともあります。下記の通り、期待100点に対して80点であれば、顧客の要求事項が社内に展開⇒改善を図ることになります。
- 顧客期待100点⇒実際80点❌(顧客不満)
- 顧客期待100点⇒実際100点△(顧客満足)
- 顧客期待100点⇒実際120点◎(顧客大満足)
この100点も、2010年の100点と2020年の100点と2030年の100点は異なります。世界経済は確実に成長し続けますので、1年に1%づつ成長しているとすると、具体的には下記の通りです。
- 2010年:100点
- 2020年:90.5点
- 2030年:82点
徐々に目減りします。成長し続けないと、顧客期待のレベルも上がり、いずれは取り残されます。
設計・開発
◎設計・開発とは
- 顧客のニーズ・期待・法規制を満たす製品は何か?
- これらの製品を作るために何が必要か?(人材・設備・材料・方法など)
これらを決めていきます。
●例
- ソフトウェア:使用言語・開発環境・考えられる外部負荷など
- 自動車:部品仕入れ・組立て・動作確認・考えられる外部負荷など
いろいろありますが、顧客の要求⇒応える製品・サービスの立案⇒実現方法の立案という流れが「設計・開発」になります。
◎設計・開発のインプット・アウトプット
- インプット:顧客の要求・市場の動向・競合の状況=どんな製品・サービスが喜ぶ?
- ↓↓(満たす方法)
- アウトプット:製品の仕様・サービスのオペレーション=どうやって回していく?
◎適用不可能な組織
組織・チームの中には、製造工程の範囲が狭い・ピンポイントで担って、管理不要なところもあります。そんな組織・チームは、「顧客のためにどんな工夫ができるか」の確認が必要になります。
プロセス・アプローチ
◎プロセス:各々の業務の単位
個々のプロセスには、インプットとアウトプットがあります。
インプット(人材・材料・設備)⇒プロセス(過程・方法)⇒アウトプット(成果・結果)
「インプットを使用して意図した結果を生み出す、相互に関連するまたは相互に作用する一連の活動」(ISO9000 3.4.1)
⇒日々の業務の単位が個々の「プロセス」、この「プロセス」が日々運用されています。
◎プロセスアプローチ:全体を通して、顧客満足度向上を目指すこと
各プロセスが首尾一貫(共通の目的に向かうこと)した仕組みが、顧客満足になります。
●例
- 営業部門:安易な値引き⇒長期的には売上ダウン
- 設計部門:不要な機能(例:冷蔵庫の中から高音質音楽や高画質映像)⇒逆評価品質(満足度下がる機能)で顧客満足ダウン
これを、顧客の要求事項(見える要求・見えない要求のどちらも)を社内に正しく展開することで、プロセスも有効になります。
ワークショップ①
当書籍は、カレーショップで例えられていましたので、カレーショップで進めます。
◎カレー完成までのプロセス
- 顧客の求めるカレーの特定
- カレーのレシピをつくる
- カレーに必要な材料を揃える
- 実際にカレーつくる
- 顧客の元へ運ぶ
◎顧客の求めるカレーの特定(顧客関連プロセス)
まずは、自分自身が好きな商品を提供しても、万人に好かれるわけではありません。だから、必要とされていることの情報を集めます。
顧客ターゲット:学生・社会人・男性・食べ盛り・ヘルシー
必要な商品:「ボリューム満点のカツカレー」&大学卒業後も固定客となるように。
◎カレーのレシピをつくる(設計開発プロセス)
カレーメニューの決定⇒お店独自の特徴を出す⇒特徴を出す方法を立案する
例:カツにこだわるorカレールーにこだわるorこだわらず、原価を安くする(原価安くするのは、チェーン店に負けるのでおすすめしませんが)
⇒カツに使う豚の銘柄は?・米の銘柄は?・スパイスの配合は?ダシの取り方は?など
これらを試しの調理中や調理後のできあがり、さらにカレーが提供されるまでの時間を時間短縮、支払い方法の充実などから、顧客満足度の向上につながります。
◎カレーに必要な材料を揃える(購買プロセス)
必要な材料を揃える必要があります。このとき、Quality(品質)、Cost(費用)、Delivey(納期)を意識することが大切です。
- Quality:肉・米・野菜が必要な銘柄通りであり、新鮮であるか
- Cost:予算内であるか
- Delivery:仕込み開始の時間に材料が届けてくれるか、供給は安定するか
◎実際にカレーを作る(製造プロセス)
カツカレー調理による4M(Man・Material・Measurement・Method)
- Man:カツカレーの調理師の力量
- Material:カレー鍋・調理器具・食材
- Method:決定したレシピ
- Measurement:提供までの時間・1人分の量
◎顧客の元へ運ぶ(提供プロセス)
- 注文の受け方(券売機・タッチパネル・直接聴取)
- 盛り付け方(ご飯とルーを全く別々・ご飯の横にルー掛ける・ルー掛けて真ん中にライスボール)
- 運び方(手で顧客まで運ぶ・ペッパーくんが運ぶ・ベルトコンベア(回転寿司のように))
◎満足度の監視・測定
顧客へボリューム満点のカツカレーを提供できました。しかし、品質マネジメントシステムはそこで終わりません。特有の顧客も出てきます。
例:ご飯の部分を野菜にして欲しい女子学生・甘口も欲しいお子さんetc…
顧客満足度を確認する「監視・測定」があります。これによる継続的改善が必要です。
◎企業での導入にあたって
実際の組織でも、個々のプロセスだけでなく、全体を通して俯瞰が必要です。この全体を俯瞰することがプロセスアプローチです。
実際は、さらに多くのプロセスがあり、複雑になっています。
マネジメントシステムの構築は今の仕組みをざっくりプロセスで図示して、俯瞰することが重要です。各プロセスが共通の目的に向かっているか確認することも必要になります。
以上がISO9001の特徴でした。端折った箇所や勘違いもあると思いますが、ご了承願います。
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