「ISOマネジメントシステムが一番わかる」より7

QA(品質保証)

引き続き、QAエンジニアの私がこの本より、一般の方たち向けにかみ砕いていきます。

ISO14001(環境マネジメントシステム)

環境とは

◎環境とは

ISO14001:将来のために環境・社会・経済のバランスを考慮して「持続可能な発展」を目指すこと

「環境」の定義

「大気、水、土地、天然資源、植物、動物、人およびそれらの相互関係を含む組織の活動をとりまくもの」(ISO14001 3.2.1)

これから20年、30年と事業を継続していき、将来を維持するために、「持続可能な開発」「健全な発展」を目指す必要があります。

ISO14001:環境・社会・経済の3つの要素がバランスよく構成されることを目指した規格、環境負荷を数値化して表す

◎環境に関するトレンド

ESG:環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Govenance)、長期的成長の視点で、社会的なニーズと環境を踏まえて自組織を統制、ESGの評価で株式市場・資金調達の影響もあります。

SDGs:持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)、2015年に国連で採択された目標

環境側面と環境影響

◎環境側面

事業運営のときにどんな環境負荷が掛かっている?全体像を把握すること。

●ISO14001規格抜粋

環境と相互に作用する、または相互に作用する可能性のある、組織の活動or製品orサービスの要素」

=「環境に作用する要素」⇒どのくらい環境に負荷をかけているか

プロセスに注目すると

  • 受注    紙・電気⇒廃紙
  • 設計・開発 紙・電気⇒廃紙
  • 生産計画  紙・電気⇒廃紙
  • 購買    紙・電気⇒廃紙・排ガス
  • 製造    原材料・燃料・水⇒排水・廃材・騒音
  • 出荷    梱包材・燃料・電気⇒排ガス

このように、組織の環境側面を洗い出し全体像を把握することがISO14001構築の第一歩です。

◎順守義務

規格の序文は以下の通り

「厳格化が進む法律、汚染による環境への負荷が増大、資源の非効率的な使用、不適切な廃棄物管理、気候変動、生態系の劣化および生物多様性の喪失に伴い、持続可能な開発透明性および説明責任に対する社会の期待は高まっている」

「透明性」・「説明責任」を実現するには、法令の順守義務を改めて確認する必要があります。

何かしらの不備(規格不適合・法令不適合・電安法違反etc…)があれば、信用を失墜します。

環境側面の法令を把握することで、これらの責任を果たすことができると考えられます。

法令も様々な法令があります。日本のJISのみならず、ヨーロッパのRoHS・REACH・WEEEやアメリカのTSCAなど多岐にわたります。これらの改定は目まぐるしく行われます。よって、法令を専門の担当を決めておき、法令が改定されたとき、対象の部署と会議を行うなどすることが現代の企業にあります。

法令の確認と対応は、1人では絶対にできません。そのため、法令専門の担当と製品開発の設計担当と品質担当がお互いに協力し合い、法令順守することが必要です。

◎環境影響評価

洗い出した環境側面から、4つの軸があります。

スティーブン・R・コヴィー著の「7つの習慣」の「最優先事項を優先する」に似ています。まず、「影響大きい・変えやすい(第1象限)」に取りかかります。しかしその後多くは、「影響小さい・変えやすい(第3象限)」に移り、簡単にできる整理などに割くことが多いです。本当に大切なのは、「影響大きい・変えにくい(第2象限)」の部分です。

  • 影響大きい・変えやすい(第1象限):オンライン切替え・車の移動を減らすなど
  • 影響大きい・変えにくい(第2象限):設計開発で製造の廃材を減らす・エコな建物を新築など
  • 影響小さい・変えやすい(第3象限):紙の資料を減らすなど
  • 影響小さい・変えにくい(第4象限):外部委託の教育など

もちろん、この際も自分たちのできる範囲を明確にする必要があることから、多くは変えやすいことに手を付けて、第2象限は、会社ぐるみの改革になるといった流れでしょう。

出典:「7つの習慣」という本の感想とまとめ│ステップアップブログ (stepup-blog.com)

ライフサイクルの視点

◎ライフサイクル

原材料の取得または天然資源の産出から、最終処分までを含む、連続的でかつ相互に関連する製品(またはサービス)システムの製品群」(ISO14001 3.3.3)

1つの製品・商品を設計開発・生産計画・購買・製造・出荷までの流れの中に、ヒト・モノ・カネの流れがあります。中には、影響が大きいことは自分たちの外にあるかもしれません。

昨今では、クラウドサービスの導入によりデータセンターに移行する組織も増えています。これにより、効率化と見える化する取り組みをされています。

また、自分の組織のみならず、サプライチェーンなど前工程や後工程も考える必要があります。

製品・商品を開発した後の利用・廃棄・リサイクルも含めても幅広く考えることも必要です。(これがヨーロッパのWEEE指令に当たります)

ワークショップ②

当書籍に則り、カレー屋さんを例にしたワークショップです。

◎環境側面、影響評価

環境側面:各プロセスから洗い出す方法を採用

⇒調理のプロセスで水・ガスの利用が著しい

◎ライフサイクル

食材・ガス・電気の調達⇒調理⇒提供 ここから下記のように視野を広げます。

  • 食材を良質な国産にこだわる
  • 使う水を良質な天然水を使う

◎異なる環境マネジメント

カレーショップのコンセプトも様々です。

  • 健康志向の女性⇒有機野菜・天然水のこだわる⇒有機野菜を調達する農場の管理
  • ボリューム満点&本格カレー食べたい学生⇒インド・ネパール人が作るカレーと大きなナン⇒香辛料・ナンの小麦粉の調達先の選定
  • とにかく安く済ませたい学生⇒最低限の品質のレトルトカレー⇒カレー製造工場の管理

コンセプトがズレると、必要な顧客を確保できなくなります。

さらに、単純に他社のマネをすると、目的と相反するシステム・業務は長続きせず、形骸化します。そのため、導入するにも目的を明確にすることが形骸化防止になります。

環境に貢献することばかりになると、事業運営に偏りが出ます。

  • 環境
  • 社会
  • 経済

これらのバランスが必要です。事業の成長ばかりで環境を疎かにせず、環境・社会・経済のバランスを取ることです。

以上となります。ちょっとかみ砕きが異なるところもあると思いますが、こんな感じです。

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