引き続き、QAエンジニアの私がこの本より、一般の方たち向けにかみ砕いていきます。
セクター規格:特定の事業に特化した規格
ISO13485(医療機器)
「医療機器の製造管理および品質管理の基準」の考え方を加えた国際規格
◎ISO13485の対象組織
・医療機器メーカー(例:オリンパス・ニプロ・テルモ etc…)
・医療機器に関わるサービス提供している組織
ISO13485の定義:「計器、器械、用具、機械、器具、埋込用具、体外診断薬、ソフトウェア材料または・・・製造業者が人体への使用を意図し・・・」
⇒人体への使用を意図した医療機器・サービス
例:レントゲン・注射器・聴診器・血圧計・各種薬剤etc…
◎リスクマネジメント
「危険の原因となりえるものを抽出し、対処し、危害が生じないようにすること、認知されないリスクが抜け落ちないようにすること」
⇒医療ミスした場合、多額の損害賠償を支払うことになるため
・危険の原因を検討する
例:診断のミス・処方箋のミス・ムダな処方箋etc…
原因を把握した後、リスク分析⇒リスク評価⇒リスクコントロール(リスク低減策)を実施
例:処方箋のミス⇒患者の副作用・患者の病気が治らない・クレーム⇒1つ1つの薬を説明する
これが死亡事故などになりそうなときは、限りなくゼロに近づける必要があります。
IATF16949(自動車産業)
IATF16949はIATF(International Automotive Task Force:国際自動車タスクフォース)が策定した、自動車産業の国際的な品質マネジメントシステム
多くのサプライチェーン(エンジン・板金・タイヤなどの専門メーカー)で構築されているため、サプライチェーンから不具合予防が必要です。
◎IATF16949の対象範囲
まず、「自動車」は以下の範囲を指しています。
”自動車”に該当:乗用車、小型商用車、大型トラック、バス、自動二輪車
⇒運転免許で乗れるもの
”自動車”に非該当:産業用車両、農業用車両、オフハイウェイ車両(鉱業用・林業用・建設業用など)
⇒電車・新幹線・トラクター・コンバイン・ブルドーザー・クレーン車など
”自動車”に該当する製品を12カ月以上量産していることが条件
インターネットサイトに載ってある製品は、全て量産実績が必要
例:特定顧客向けの特殊な製品も対象
自動車産業も、工場が九州・関西にあり、営業所や本社が東京にあるパターンの会社が多数あります。そのときも、本社のみならず、九州工場がある場合は、九州工場も審査を受ける必要があります。
なお、部品交換・修理対応専門の会社は対象外です。
◎IATF16949の特徴
IATFはアメリカのビッグ3(ゼネラルモーターズ・フォード・クライスラー)を含む自動車メーカー・関連する団体で結成されました。
・IATF16949の要求事項(審査対象)
顧客固有要求事項:顧客毎に指定
自動車産業固有の要求事項:IATF16949規格
ISO9001:IATF16949規格
自動車メーカー・業界団体が、自動車メーカーの要求事項を反映し、サプライチェーンを適切に管理するため、自動車メーカーの目線で制度を構築・運用します。
審査で発見された不適合・顧客満足度などの管理も非常に厳格です。
・認証制度の違い
ISO9001:ISO(規格の発行)・IAF(文書の発行)⇒認定機関(審査)⇒認証機関(審査)⇒受審組織
IATF16949:IATF(規格の発行・制度の運用)⇒IATF監査機関(審査)⇒認証機関(審査)⇒受審組織
IATF16949は厳しい制度・規格であり、取得は簡単ではないです。しかし、取得できたら、会社の成長に大きく貢献できる強い規格ともいえます。
ISO22000(食品産業)
ISO22000:ISO9001のPDCAサイクル+HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point/危害分析に基づく重要管理点)を足した国際規格
⇒消費者に安全な食品を提供することを目的
ISO22000を基本に自由度があります。自由度が高い分、抜け漏れが出る可能性があります。
FSSC22000:ISO22000に前提条件プログラム(※)+FSSC(オランダのFSSC財団(Food Safety System Certification Foundation)が運営する認証制度)独自の追加要求事項を加えた規格
⇒ISO22000の1つの規格では不足するため、FSSC22000では約10分割と細かく分けて決めるという感覚です。
※前提条件プログラム:フードチェーン業種を約10分割に分けて、必要な設備・インフラなどを規定したもの
例:作業服・作業帽・作業手袋・作業靴etc…
例:生もの食品⇒作業服はもちろんのこと、温湿度に厳格な基準etc…
◎ISO22000およびFSSC22000の対象範囲
ISO22000:フードチェーンに関係するすべての組織
FSSC22000:食品製造・食品用包装容器を扱う製造業、近年業種が拡大傾向(ISO22000より狭い範囲)
⇒企業・事業部といった組織単位でマネジメントシステム構築・運用⇒認証取得
範囲狭い・厳しい・成長に期待大 FSSC22000 ↔ ISO22000 範囲広い・緩い・成長に期待小
ISO22000で取得可、FSSC22000で取得不可:消費者以外(商社・魚市場の仲介など)の販売
⇒製造拠点単位の認証取得
◎ISO22000の特徴
HACCP手法(世界の食品業界で普及している手法)に基づく取り組みを要求
HACCP手順
⇒(準備)1.チーム編成 2.説明書作成 3.消費者を確認 4.製造工程の作成 5.現場確認
⇒(原則)1.危害要因分析の実施 2.重要管理点(CCP)の決定 3.管理基準(CL)の基準
4.モニタリング方法の設定 5.改善措置の設定 6.検証方法の設定 7.記録と保存方法の設定
これにより、不具合と言われることがあっても、問題ないレベルまで低減させる処置や活動が求められています。
◎FSSC22000の特徴
GFSI(国際食品安全イニシアチブ)によって承認されたベンチマーク規格
ISO22000より、追加の要求事項があり、厳しい規格です。
例:服装・照明器具など
審査を日にちを事前に伝えられない非通知審査、いわゆる抜き打ちの審査があります。この抜き打ちの審査は定期検査の2回に1回の割合で行われます。その分、取得できると大きな信頼につながります。
以上で、当書籍に関する内容は以上になります。ちょっとニュアンスが違うところもあるかもしれませんが、ご了承願います。
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